さる28日、大田市大森町の「なかむら館」でマリオネットの演奏会が開かれました。石見銀山資料館の開館35周年と、日本ポルトガル修好通商条約締結150周年を記念したコンサートです。
マリオネットとは、ポルトガルギターの国内第一人者である湯浅隆さんと、マンドリン奏者として活躍する吉田剛士さんのアコースティックユニットで、ポルトガルの民族音楽ファドをはじめ”南蛮”をテーマとした創作・演奏を行っています。
石見銀山に実はとても縁の深い活動をしているアーティストさんです。
さて、35周年記念式典では、石見銀山資料館の中村俊郎理事長の挨拶のあと、在日ポルトガル大使館のPaulo Chaves参事官が東京からかけつけ、祝辞を述べられました。
シャーヴェス参事官は、銀を通じた日本とポルトガルの長いゆかりについて述べられたのち、ポルトガルの偉大な詩人カモンイスの叙事詩『ウズ・ルジアダス』を引用し、「カモンイスは『あの島=ニッポン=は純銀を産するところ』と謳いましたが、私はそれに加えて『両国の友情を産するところ』とも表現したい」と結ばれました。
************************
さて、いよいよマリオネットさんが登場し、コンサートの始まりです。
1曲目は「Barco Negro(暗いはしけ)」 ファドの名曲中の名曲です。ファドの女王アマリア・ロドリゲスが唄い、フランス映画「過去を持つ愛情」の挿入曲として使われたのをきっかけに世界中に知られました。大航海時代に世界中を駆け巡ったポルトガルの音楽ファドには、ほかの国にはないニュアンスがありました。
2曲目以降は
「コインブラ(ポルトガルの4月)」
「光の中で」---皇室アルバムの中でも使われた優しい曲 ※
「南蛮渡来」---沢の鶴のCMでも使われた曲 ※
「日曜はダメよ」---マンドリンの吉田さんが軽快な音色を響かせます
「黄昏のビギン」---これも往年の歌謡曲ファンにはおなじみ
「マンドリン酒場の夜」---オリジナル曲。実はマンドリンを弾く人口が世界で最も多いのは日本なのだとか。その頂点に立つ吉田さんに『アンタはええなぁ、仲間がいっぱい居て。ポルトガルギター弾くやつなんて日本国内に30人もおれへん。ボク、弟子のおらん家元や』と湯浅さんがツッコミを入れ、場内の笑いを誘っていました。
「花の葬列」---これもオリジナル曲
「ファドの夜」---ポルトガルのファドの雰囲気をたっぷりたたえる曲
「唐街雨情」---長崎をイメージして創られた曲
「銀色オリエント」---石見銀山をイメージしたという曲。『これを演奏するために石見銀山に来たようなものです』と湯浅氏。
拍手なりやまず、アンコールは「夢は黒潮にのって」 雄大で海をイメージさせる曲でした
マリオネットさんの演奏は、ポルトガルをはじめとする大航海時代に関わった国や街の名前とともに大田市民の心に刻みこまれたに違いありません。素晴らしいコンサートの一夜でした。