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森林の後始末

   そろそろ石見銀山も雪の季節を迎えます。数年前、重たい雪が降ったとき、銀山周辺の杉が枝折れではなく幹から折れ、無残な姿をさらけだしました。大した積雪量でもなかったにもかかわらず、このような現象が起きる一番の原因は、間伐の不足によるものといわれています。胸高直径と樹高の比が高い、すなわちモヤシのような樹が被害を受けるのだそうです。

 

今年の7月、杉の産地で有名な大分県日田地方を襲った豪雨は、下流地域に多くの被害をもたらしました。その原因のひとつには、上流の杉植林地に放置された間伐材が大量に流れ出し、それが橋脚にひっかり水をせき止めたためと考えられています。

 

最近、国道9号線をはじめ山間部の道路でも木材チップを積んだ大型コンテナ車をよく見かけるようになりました。なかには、細断用カッターを装備したトラックも威力を発揮しているようです。これらの木材チップは、おそらく江津市の工業団地の一角にある木質バイオマス発電施設へ運ばれていくのでしょう。

 

これらの多くは、間伐や枝打ちによって産出された、今までならそのまま林床に放置されていたものを集めてチップにしたものが多いようです。環境にやさしい再生可能エネルギーですね。木質を燃やすと当然炭酸ガス(CO2)が排出されるので、地球温暖化に悪影響を及ぼすと考えられていますが、植物は成長過程で光合成によってCO2を吸収するので、CO2の収支はゼロになります。これをカーボンニュートラルといいます。化石燃料である石油、石炭も元をたどれば動植物性由来のものですが、その起源は数億年単位の昔のものですので、現存環境には直接影響しないということで、カーボンニュートラルとは言わないそうです。

 

江津市の木質バイオマス発電所が操業する前に、そこを見学したことがあります。担当者に話を聞いてみると、いろいろ問題がありそうです。間伐や枝打ちで産出されるバイオマス資源は沢山あるということですが、多くの場合山奥にあり、しかも場所が散在して集めるのが大変らしい。また、集めた木質の水分含量を一定にするため、加熱処理により乾燥する必要がある。資源回収のばらつきを埋め、安定的に発電するためには、東南アジアからヤシ殻を輸入しなければならない等など。

 

こうしてみると、木質バイオマス発電施設を動かすためには、間伐や枝打ちにも、資源を集積するためにも、集積したものを運搬するためにも、チップ状態に破砕するためにも、それらを乾燥するためにも、資源の安定供給のために国外からヤシ殻を輸入するための大型貨物船を動かすためにも、多くの石油エネルギーが使われていることが分かります。これら石油を燃焼して生じるCO2もさることながら、ひょっとすると、木質バイオマス発電に必要なこれらの石油を燃やして発電した方が効率的なのでは、という疑念が浮かびます。しかし、木質バイオマス発電によって、森林が少しでも明るさを取り戻し、何にもまして原子力発電の悲劇が繰り返されないためには、多少の無駄や不合理が あってもよいと思うのですが(O)。

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